虚空に吠えろ!負け犬の遠吠え!!

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ヴェロキア竜騎兵外伝 ~竜騎兵を作った男たち~  (1)

 少年アルケミストで連載中の竜騎士07作ヴェロキア竜騎兵物語。
お話も佳境に差し掛かり、シリアスでおもしろいんですが、いかんせん前半の盛り上がり不足が否めないところだとは思いませぬか。

 と、言うわけで前半パートを勝手に補完するSSを書いてみました。
時間軸としては第二話(2)の前後だと思っていただきたい。
本編ではオルデーゼの立案から迅速に結成された竜騎兵隊ですが、その裏ではこんなお話があったらおもしろいかもしれない。

 本文を続きを読むからどぞー。


                                                          

;ヴェロキア竜騎兵外伝 ~竜騎兵を作った男たち~

 オルデーゼはその日、5杯目のココアを飲みながら他国の動向についての報告書に目を通していた。
ここしばらく、オルデーゼの飲むココアの量は目に見えて増えている。
それは、ヴェロキアに厳しい冬の訪れが近づいていたせいだけではない。
オルデーゼの不機嫌が続き、自然とマッコイがココアを入れる機会が増えたためだった。

 オルデーゼの不機嫌の理由は他でもない。対弾甲冑のためである。
頑固な父を幾度も説得し、説き伏せた。うるさい議会も黙らせた。
苦労に苦労を重ね、装甲化歩兵隊設立の許可を取り付けたと言うのに、肝心の対弾甲冑が完成しないのだ。
 手にしている報告書には、刻一刻と近隣諸国の情勢がきな臭くなっていると記されている。
オルデーゼが焦れるのは無理もなかった。

 その時だった。
いつオルデーゼの癇癪玉が破裂しないかヒヤヒヤしながら見守っていたマッコイの元に、一通の報せが届いた。
マッコイはオルデーゼにその報せを見せる前に、内容を確認する。
確認した内容によってはココアのお代わりを用意しておかなくてはならない。

 ……報せは朗報の類だったらしい、マッコイはお湯を沸かし直すこともなく、その報せを手に携え、オルデーゼの前に赴いた。

「大佐、お待ちの報せです。
 対弾甲冑開発部がとうとう新型をテストするそうです」
「ようやくですか……、日にちは?」
「1週間後だそうです。今頃開発部の連中は修羅場でしょうね」
「一週間? 遅い! 
 私はもう待ちくたびれました。これだけ待たせているのです。
 あと3日で仕上げろと開発部に伝えなさい!」
「み…3日ですかぁ?!
 大佐、彼らにもスケジュールと言うものがあります。
 それはちょっと……」
「うるさい! そのスケジュールを大幅に遅らせているのはどいつですか!
 変更はありません! マッコイ、間違いなく開発部に伝えておきなさい。
 そうだ、当日は当然私もその新型の使用感を実際に試させてもらいます。
 いいですね!」
「うへぇ、そりゃ無茶ってもんですぜ。大佐」
「お黙りなさい! 私に無茶なんて言葉を使わないように!
 わかったら即、開発部に私の言葉を伝えなさい!!」

 それ以上の口答えは無駄と悟ったマッコイは、しぶしぶ部屋を退出した。
伝令の者にオルデーゼの言葉を伝える。

「いいか、間違えなくお姫様の言葉だと伝えるんだぞ。
 どうせ連中ごねるだろうが、姫様が言ったことだからと押し通すんだ。
 反論させるんじゃねえぞ……」


 数刻後、戻って来た伝令の報告は、マッコイにとって意外なものだった。

「はぁ? 開発部のやつら、もろ手を挙げて喜んでいただぁ?
 内容は間違えなく伝えたんだろうな。
 ………なんだそら。前から変わった奴らの集まりだとは思っていたが……。
 ドMどもの集まりなのかねぇ。開発ってやつは」

 そして、その3日後、新型対弾甲冑のテストが行われることになる………。





                       ( ̄ ̄<     / ̄>
                        \  ヽ   / /ソ
              プ ロ ジ ェ ク ト\  ヽ P r o j e c t X
         ─────────────────────
                挑戦者たち /|_/ /\Challengers
                       |   /   \   丶
                       \/       \__ノv




 3日後。冬も近い濁った空の下、新型対弾甲冑はオルデーゼの前に姿を現すことになった。
テスト会場は大勢の人が集まり、人いきれの熱気でむせるようだった。

「マッコイ。なんですか、この人数は。
 試験は極秘で行われるはず………」
「そ…それが、どうやら開発に携わった人間全員が集まったようで…。
 なんでも

『自分たちの開発した兵器は自分たちの子供も同じ。
 その子供が姫様に初お目見えするのにどうしても立ち会いたい』

 だそうで……」
「む…、それは熱意と期待と受け取りましょう。
 緘口令はしっかりと引いておくように」
「は、確かに」

 会場の異様な雰囲気に戸惑う二人の前で、開発主任が敬礼をする。

「オルデーゼ姫様。この度は新型対弾甲冑の試作試験にわざわざお立会いくださいまして、開発部一同御礼申し上げます。
 この対弾甲冑は我々開発部の技術力を集結させ……」
「よい、前口上より先に新型の実物を見せなさい。
 それと、私のことは姫ではなく『大佐』と呼ぶように」

 オルデーゼの厳しい口調にも関わらず、開発主任は悪びれた様子もなく頭を下げる。

「ややや、失礼いたしました。
 私も形式ばった挨拶は苦手でして……。
 早速、見ていただきましょう。これが我らの新たな守護神となるドラグーンの根幹を成すものです!」

 よほどの自信があるのであろう。開発主任はニヤリと笑うとステージ脇に控えていた助手に向かって手を打つ。
 大の大人が3人がかりでステージに台車を引き上げた。
 それまでざわついていた会場がとたんに静かになる。
 オルデーゼは会場の視線が自らに集まっているのを感じていた。
ここにいる全ての人間が、我が子に対する自分の反応を固唾を呑んで見守っている。
それはつまり、開発部の対弾甲冑に対する『自信』だった。
オルデーゼは彼らの視線を浴びながら、自分の中の期待が高まっていくのを感じていた。

「さあ、開発主任。焦らしは十分です。
 早く見せてもらいましょう。我が国の、あなたたちの、ドラグーンを!」

 開発主任はその言葉を待っていましたとばかりに、それにかかっていた布を払い落とした。
 とうとう、その中身がオルデーゼの前に露になる。

「おおおおぉぉぉ………おぉ?」

 歓声をあげては見たものの、オルデーゼはそのまま固まってしまった。
布の下から現れたのは、透明な、向こうが透けて見えるような『ガラスの鎧』だった。

「開発主任…。その…、なんだ。解説を願います」
「はい。こちらが新型対弾甲冑の根幹を成すものになります」
「その台詞は先ほども聞きました。
 私にはガラスの鎧にしか見えないのですが…」

 叩けば割れそうな脆いガラスでできた鎧。
堅牢な城塞のような装甲を期待していたオルデーゼは戸惑いを隠しきれなかった。
そんな彼女の様子を見ながら、してやったりと言う表情を浮かべる開発主任。
誇らしげな態度を崩さずに説明を続ける。

「その通り、この新型のプロトタイプは外装をガラスで作ってあります」
「何か、特殊なガラスなのですか?」
「いいえ、ガラス自体はなんら特殊なものではありません。
 街で売っているものとなんら変わらない素材でできています」
「では、これのどこが……」
「よく見てください。
 透明なのでわかりにくいでしょうか。
 中が液体で満たされているでしょう?」

 なるほど、開発主任の言うとおり、鎧の中はなんらかの液体で満たされていた。

「すると、これが……?」
「そうです、これが竜騎兵に鉄壁の防御力を与えるものです。
 特殊な高分子を水に溶解することによってあらゆる衝撃を吸収し、受け流します」
「なるほど…砲弾や剣戟による衝撃をはじき返すのではなく、吸収してしまうのですね」
「その通りです。これならば、至近距離で歩兵銃を撃たれたとしてもダメージは皆無でしょう」
「それは頼もしい。だが、口ではなんとでも言えるでしょう。
 早速、実際にその効果を見せてもらいましょう」

 その言葉を待っていたとばかりに、開発主任が笑顔を見せる。

「はい、ではお召し代えをあちらに用意させていただきました。
 さっそく着替えていらしてください」
「着替え? なぜ私が着替えなくてはならないのです?」
「ややややや、大佐は本日『新型対弾甲冑の使用感を試す』。
 そのようにご連絡をいただいておりますが?
 そのままでは、お召し物が汚れてしまいます。」
「む…。そ、そうですね。では、さっそく着替えてきましょう」

 オルデーゼが更衣室に入ってから少々の時間が過ぎた頃だった。
更衣室の入り口から顔だけをのぞかせたオルデーゼが怒鳴り声を上げた。

「マッコーイ!! 開発主任!!
 ちょっと来なさい!!」
「ひ…姫…、いや、大佐! どうかしましたか!!」

 その剣幕に慌てたマッコイがオルデーゼの元に急ぐ。
 それに対して、開発主任はさもありなんとばかりにゆっくり歩を進めていた。

「な、な、な…、なんですか! これは!!」

 着替えたオルデーゼが身にまとっていたのは、ガウン。
そして、その下には真っ赤なビキニの水着を身に着けるのみだった。

「ややや、姫…いや、大佐。よくお似合いで」
「お似合いじゃない! なぜ、私がこのようなものを着なければならないのです!」
「なぜも何も…、もう着ちゃってるじゃないですか。大佐」
「だ……、だって!!」
「うむ…、厚手のコートに水着と言うマッチングもなかなかギャップがあっていいですな」

 怒り心頭で怒鳴り散らすオルデーゼを尻目に、開発主任は満足そうにメモを取っていた。

「説明しろ! 主任!」
「へ、返答しだいでは、事、ただではおきませんよ!」
「ややややや、これはこれは。水着がお気に入りませんでしたかな? 姫様。
 何分、粘度の高い液体に身を浸すとなれば、お召し物が汚れるのは必然。
 そこで水着を用意させていただいたわけですが……。
 やや、もう少し時間さえあれば、もっとマシな物も用意できたのですが……。
 いかんせん3日ではこんなものしか用意できず……。
 申し訳ありませんねぇ。姫様。
 や、時間さえあれば。本当に……、ねぇ?」
「大佐。一本取られましたね」
「ぐ……、私のことは『大佐』と呼ぶように言ったはずです」

 準備期間を自ら縮めたオルデーゼには、せいぜい揚げ足を取るような指摘を行うしか言葉がなかった………。

 
ヴェロキア竜騎兵外伝 ~竜騎兵を作った男たち~  (2) へ続く

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